絵本を読む

3本の斧 Ba lưỡi rìu

この物語は貧しい木こりの物語です。

木こりの家で一番の家宝と言えるものはが鉄の斧でした。

薪を割っているときに、誤って斧を川に落としてしまい、見つけることができません。

すると川から仏様が現れ「あなたの落とした斧は、この金の斧ですか?」とたずねます。

木こりは「いいえちがいます」と答えます。

続けて仏は「あなたの落とした斧は、この銀の斧ですか?」

木こりは「いいえちがいます」と答えます。

「それではあなたの落とした斧は、この鉄の斧ですか?」

「はい、その鉄の斧が私の斧です」とよろこびながら返事をしました。

仏は彼の正直さに感心したため金と銀の斧の両方も彼に与えることに決めましたとさ。

物語の教訓

仏の助けを受けて金銀の斧を手に入れることができたにもかかわらず、木こりは正直に答え、自分の所有物であった鉄の斧だけを受け取るのです。

子供たちに、人生において正直で、真実であり、欺いてはいけないことを教えます。常に労働の成果に基づいて生きる優しい人々は幸運を受け取りますが、貪欲で欺瞞的な人々は報いを受けます。

タムカム Tấm Cám 

ベトナム版のシンデレラ物語として有名なお話です。

むかしむかし、二人の異母姉妹がいて名前はタムとカムです。

タムの母親は早くに亡くなり数年後に父親も亡くなります。

彼女は義理の叔母であるカムの母親と一緒に暮らしました。

この継母は非常に厳しく、家事から水牛の放牧、芝刈りまで、すべての仕事をタムに強制します。一方、甘やかされたカムは何もしません。

ある日お祭りがありましたが、カムと母親はタムが祭りに行くことを禁じてしまいます。

しかし、仏の助けでタムは祭りにふさわしい服や靴をもらい、祭りに参加することができました。

祭りに参加していた王様と出会うことができ、そのことがきっかけで後々タムは女王になることができるのですが、祭りの後もカムとその母親に危害を加えられ、数々の困難を経験してきたタムは、ついに王と再会し、幸せに暮らすことができます。

物語の教訓

この物語は、利他主義、勤勉、努力などの人間の善良な資質を奨励すると同時に、「親切にすると良いことが見つかる」という格言を証明するものでもあります。

タムカムは子供たちに正しいことと間違ったことの区別を教え、人生の良いことを示し、常に親切であり、友達を助けなくてはいけないことを思い出させてくれます。

私たちの知恵 Trí khôn của ta đây

昔々、毎日水牛を連れて畑を耕す勤勉な農夫がいました。

トラがやって来て、水牛に「なぜ人間にこき使われているの?」と不思議そうにたずねます。

水牛は「人間は弱そうに見えて知恵があるんだよ」と答えます。

しかし水牛は知恵を説明することができないので、トラは農夫に直接聞きに行きます。

「人間の知恵が見たいけどどこにあるんだい?」

農夫はトラが現れたことに驚きましたが、冷静になって答えます。

「家に知恵たくわえています。」「もし私の知恵が見たいならいうことを聞いてください。」とトラに言いました。

農夫はトラが水牛を食べることを恐れていたのでトラを木の柱に縛り付けることにしました。

トラは人間の知恵を見てみたいためいやいやながら木に縛り付けられました。

そして、彼はトラの周りにわらを積んで燃やしました。

それを見た水牛は大声で笑い、歯が岩に当たって折れてしまい、上の歯が1つも残りませんでした。

火でロープが切れ、トラは森に逃げ出し、そこから体に長い黒いしま模様が現れました。

物語の教訓

この物語は、なぜ水牛に上の歯がないのかとトラにしま模様ができた理由について教えてくれています。

また人間の知性と他の動物に対する優位性について、子供たちに深い人間主義的な教訓をもたらします。

困難で危険な状況に対処するには、知性を適切な場所で適切な目的で使用する必要があります。

月にいるクイおじさん Chú Cuội cung trăng 

中秋の名月の季節になると必ずと言っていいほど話題になる物語です。

昔々、クオイという名前の木こりがいました。

クオイさんは母トラが死にかけの子トラに葉っぱを与えているのをそっと眺めていました。

すると意識を失った子トラは息を吹き返したのです。

クオイさんはその葉っぱが薬になると思い、木の根っ子を掘り起こして家に持ち帰りました。

それ以来、クオイさんはその木の葉のおかげで多くの人々の命を救ってきました。

仏さまからその木に水をあげてはいけないと言われていたのですが、ある日、クオイさんの妻がそれを忘れていたため、木に水を与えたところ、木が空に飛んでしまいました。

クオイさんは木をつかんだままはなしませんでしたので、木と一緒に月まで飛んで行ってしまいましたとさ。

物語の教訓

この物語は、月がどのように見えているのかを伝承として伝わってきました。

ベトナムで月はガジュマルの木の下に座っている人のように凹んだ形をしているという、創造的で興味深い視点を子供たちに与えてくれています。

また、クオイさんが月から迷わずに帰ってこれるようにと、地上でランタンをともすようになったそうです。

箸束のお話 Câu chuyện bó đũa

3本の矢という話に似ていますね。

むかしむかしあるところに、子供たちと暮らしているお父さんがいました。

残念なことに彼は子供たちが互いに愛し合っていないことを悲しんでいたのです。

あるとき子供たちに、もし箸の束を手で割ることができたら、大きなご褒美を与えるという挑戦を出しました。

どんなに頑張っても、兄弟は誰もその箸の束を壊すことができませんでした。

それを見たお父さんは、「これが団結の力です。団結する方法を知っていれば誰もあなたたちを打ち負かすことはできませんよ」と説明します。

そのご家族は仲良くお互い協力し合い幸せに暮らしましたとさ。

物語の教訓

この物語から得られる教訓は、私たちは一人でいると簡単に動揺したり抑圧されたりするが、力を合わせれば常に強くて揺るぎない気持ちになれるということです。

特に同じ家族の兄弟の場合、私たちはあらゆる困難や苦難に直面しても、愛し合い、支え、助け、常に団結する方法を常に知らなければなりません。

スターアップルの伝説 Sự tích cây vú sữa

英語でスターアップルというのですが、ベトナム語では直訳するとおっぱいのミルク果実になります。

むかしむかし、母親に甘やかされて遊ぶのが大好きな男の子がいました。

ある日、母親に叱られたため、家に帰ろうとせずあちこち歩き回っていました。

母親は息子が夜になっても帰ってこないため探し回りますが帰ってきませんでした。

我が子を想うあまり、心配で倒れてしましまい、木に変わってしまいました。

男の子が母親を思い出し家に帰っても母親の姿がどこにも見当たらないので、彼は木の下で泣き出してしまいます。

すると、突然木が彼をなでるかのように果物を彼の手に落としました。

食べてみると外側は渋いですが、中は母乳のように甘くて香り高い果物のようでした。

それ以来、人々はこの木をおっぱいミルクの木と呼ぶようになったのです。

物語の教訓

この物語は、スターアップルの木の物語を説明するだけでなく、子供たちに親孝行することを教えています。

子供がどこへ行っても、母の愛に満ちた腕には、他に類を見ない永遠の計り知れない愛が宿っているからです。

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By なら

介護業界で15年ほど勤務、近年はベトナムの介護施設で管理者として働く。奥様はベトナム人、息子一人。ベトナム語を勉強し、幾度も挫折を繰り返し復活しています。

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