あまり知られていないかもしれませんが、現上皇后の美智子さまは「絵本の普及事業」に長年関心を持っておられます。
実は海外へ向けた絵本をご自身でも翻訳されておられます。
代表的な作品としてまど・みちおさんの『どうぶつたち』があげられます。
絵本を普及する会
2017年に天皇陛下とベトナムを訪問された折、ある女性2人とお会いになられます。
レ・トゥイ・ティ・ヒエンさんと勝恵美さんです。
彼女らは、ベトナムで日本の絵本を読み聞かせる活動をしており、その活動を通して美智子さまとお会いし激励されたそうです。
その激励が契機となりベトナムで「絵本を普及する会」が発足しました。
そして現在、美智子さまの思いは紀子さまに引き継がれたのです。
今回、日越外交関係樹立50周年をお祝いする式典にさいして紀子さまはレ・トゥイ・ティ・ヒエンさんと勝恵美さんにお会いする予定だそうです。
日本の絵本の特徴
日本国際児童図書評議会(JBBY)の会長はこう語っています。
「日本の絵本には柔らかいタッチやユーモラスなテーマで国内外の人気を得ているものが多い」
「日本のノンフィクションはきめ細かなリサーチによる正確さが特徴です」
「欲を言えば、欧米の作家のように社会問題や国際問題を扱うなど、子どもを社会的な存在と意識して未来像にも視野を広げて欲しいですね」
翻訳出版で一番の問題
本を読み進めていく進行方向の問題です。
日本の絵本は文字が縦書きのものと、横書きのものがありますが、翻訳出版の場合、縦書き絵本に問題が生じてきます。
文字が縦書きの絵本は、右から左へ頁が進んでいく本のつくり(右開き)になります。
大抵、絵本の登場人物は本の進む方向に合わせて描かれます、例えば主人公のくまさんは左へ左へと進む、というわけです。
対策として、原画を逆版(鏡に写ったようなさかさまな絵)にして対応せざるを得ませんが、この作業は著作権上、画家の許可なしには一切行うことができません。
翻訳者たちの惜しみない苦労に感謝しつつ、今後もベトナム語の絵本が普及され多くのベトナム人たちの手に絵本が行き渡ることを願っています。
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